2023/01/21 08:00
えひめのあぷり編集部
愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。
採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。
地域の子どもに無料または低料金で食事を提供する「こども食堂」。
2022年12月現在、その数は全国で7,000箇所(*1)に及ぶという。
意義ある施設を機能的に運営し、最大限活用される場所にするために、デジタルを活用した試みが始まる。
(*1「NPO法人 全国こども食堂支援センター むすびえ」調べ)
(チャレンジャー:サイボウズ株式会社)
こども食堂の歴史は浅く、発足してまだ10年ほどといわれている。
多くが民間で自主的・自発的に始動していることもあり、公的な制度整備は途上段階だ。
愛媛県内のこども食堂でも、それぞれがさまざまな課題を抱えながら活動している。
「サイボウズ株式会社」はグループウェアの開発・提供をメインとし、「チームワークあふれる社会を創る」という一貫した理念のもと事業展開を続けている。
今回同社は、こども食堂間と地域をネットワークでつなぐデジタル基盤を構築する。
この取り組みは、多数のこども食堂を一つにつなぎ、携わるあらゆる立場の人々を一つの大きなチームにすることだと、言い換えられるかもしれない。
強大なチームワークを構築し機能させることで、こども食堂の運営をもっと活発にし、存在意義をもっと高める事業に挑む。
(実装フィールド:宇和島市)
宇和島市にある「特別非営利活動法人U.granma japan(うわじまグランマ・ジャパン)」は、平成30年7月豪雨の災害支援をきっかけに発足。
平成31(2019)年4月に初めて宇和島市子ども食堂を開催した。
以来訪れる子どもたちは増え続け、幅広い世代の人々も集うようになり、地域の交流拠点としての役割も担うようになっている。
南予エリアにあるこども食堂の中心的な存在で、各市町のこども食堂とのつながりも深い。
サイボウズはこの「U.granma japan」をパートナーとし、実装検証をスタートする。
「えひめ地域こども食堂ネットワーク」によると、2022年5月現在、愛媛県内で運営されている90団体のこども食堂のうち、稼働しているのは60団体。
コロナ禍で休止中の多くは再開が困難な状況、稼働中の中にもテイクアウトで対応しているところもあるという。
多くのこども食堂において、資金や食材の調達を始め運営にはさまざまな困難や問題を抱えている。
「U.granma japan」も自治体とも連携しているが、まだまだ自営と周囲の支援・ボランティアの力によるところが大きい。
こういった状況で支えになるのが、「チームワーク」なのかもしれない。
課題として以下のような声が上がっている。
●資金・食材・ボランティア・場所のリソースが効率活用できていない。
(余剰や不足を補い合えるような、こども食堂間での連携がない。)
●新規で始める方法がわからない。問題発生時、参考にできる先行事例の情報が得られない。
(ノウハウ共有の仕組みがない。)
●利用あるいは支援をしたいが、各食堂の稼働状況がわからない。
(利用者・支援者に必要な情報発信がされていない。)
●食堂の利用状況が把握できない。公的機関でも把握しておらず、組織を活用できていない。
(データ蓄積・データ活用ができていない。)
それぞれの課題において、複数の拠点間で情報のやりとりができていないことがわかる。
複数のこども食堂間。こども食堂と利用者の間。こども食堂と支援者の間。こども食堂と公的機関の間。
この「間」をつなぐ「ネットワーク」があれば、チームで解決へと動き出せそうだ。
そこでサイボウズは次のようなサービス基盤を構築する。
●ノウハウやリソース(食材・支援等)の情報を、こども食堂間で共有できるようにする。
(オープンプラットフォームを構築し、情報共有と相互協力を可能にする。新規参入も推進する。)
●利用者やボランティアに関する情報の収集・共有を可能にする。
(QRコードを利用し、極力負担なく施設利用履歴を収集する。施設ごと、及び全体の状況を見える化し運営改善につなげる。子どもの見守りにも活用する。)
●利用者へ、必要な時に必要な情報を送れる仕組みを作る。
(子どものチェックインを保護者にメールで通知し、安心と利用促進を図る。)
●Webサイトで運営状況(当日の状況)を発信する。
(利用者が当日の利用可否を判断できる。支援者が食材提供等を行いやすくなる。)
環境構築においては、同社の製品やサポートサービスを有効活用し、スマートかつ確実なシステム導入を実現できる。
情報共有グループウェア(コミュニケーションツール)や各種データベースなど、各機能は「kintone」(クラウド型アプリ開発プラットフォーム)を用いることで、有用性のある業務環境をスピーディに構築することができる。
運用コスト面においても、「チーム応援ライセンス」の適用でランニングコストを抑えることができる。
検証は「U.granma japan」でシステム運用を開始し、各機能運用の実証とデータ蓄積を行った後、南予地区におけるこども食堂間の連携を行う。
さらに県内全域での連携、県外との連携へのステップアップ構想もある。
こども食堂を支える「基盤」を整え、関係するすべての要素がより良く機能し始めれば、適用エリアや関係メンバーもどんどん拡大していくことだろう。
こども食堂が大きく強靭なチームとしてつながり合っていくことを期待したい。
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えひめのあぷり編集部
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