2023/02/07 14:00
えひめのあぷり編集部
愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。
採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。
「どんな環境に生まれ育っても学びにつながることのできる社会へ」というヴィジョンのもと、教育格差を解消するため、認定NPO法人カタリバが「キッカケプログラム」を立ち上げた。
子ども支援のDXによって誰ひとり取り残さない未来を実現するためのプロジェクトが、新居浜市と宇和島市を舞台にスタートした。
(チャレンジャー:認定NPO法人カタリバ)
「教育格差を生じさせる要因は何か?」。今回のプロジェクトを実装するカタリバは、教育格差を解決するためには、3つの課題があると考えている。
① 過疎
主たる教育事業者は県内の都市部に集中しており、過疎地域の子どもたちは教育サービスにアクセスしづらい。
②貧困
貧困家庭では、学習塾やその他習い事などへの費用の捻出が困難。
愛媛県内の子どもの相対的貧困率は17.5%と全国13位。
(参考文献:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2016). 子どもの貧困の社会的損失推計―都道府県別推計―レポート)
③文化
都市と比べると地方は教育を積極的に受けさせたいと思う親は比較的少ないという地域によっては、親の職業を子どもに継がせたいという想いから、高い教育を受けなくても就職が困難ではないという意識もあると考えられる。
これらの教育格差を放置し続けると行政の税・社会保障の負担は増加し続け、愛媛県内では数十年のうち、122億円の税収損失に繋がるという試算が出ているという。
(参考文献:日本財団(年不詳)「子どもの貧困対策」https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ending_child_poverty 2022年7月31日アクセス)
(実装フィールド:新居浜市・宇和島市)
教育格差を生み出す3つの課題を解決するために、完全オンラインで子ども支援の機会を創出するというのが今回のプロジェクト「キッカケプログラム」だ。
※オンラインでの支援を受けられるよう、子ども1人に1台のパソコンとWi-Fi(希望者のみ)を無償貸与。
教育格差を解消するための「キッカケプログラム」は、3つの要素で構成されている。
オンライン学習では「Edtech教材」を活用して、子どもたち一人ひとりのペースに合わせた学習支援を行う。
教材の活用方法についてもサポートすることで、人材のリソースに関わらず安定した学習支援が可能になる。
世界中に存在するメンターにより生活支援も実施。子どものメンターは、大学生〜若手の社会人が担当。
さらに保護者のメンターは、子育て経験のある40〜50代の社会福祉士や看護師、キャリアコンサルタントなどさまざまな職種のメンバーが担当する。
子どもや保護者を支援するメンターは世界中に!
子どもは、週に1回、メンターと対話をすることで学習の目標の設定や学習の動機づけができ、さらに、メンターは子どもたちの生活の伴走までを担う。
メンターとの対話の時間は第三の居場所となることを目指しており、親や教師といった「縦の関係」でもなく、友達との「横の関係」とも異なる「斜めの関係」を築いていくことを目指す。
さらに、子どもだけではなく、保護者に対する支援も実施。月に1度子育てに関する悩みなどを話せる場を提供し、そこから困窮など行政の福祉の支援が必要だと判明した場合は、行政に繋げていく。
生活の困難さを抱えた保護者自身が、孤独に陥らないよう伴走していく。
さらに専門的な情報が必要な場合は、その事象に適した専門機関を紹介したり、支援を依頼したりするリファー支援を実施。LINEで気軽に相談できるなど、タイミングを逃さず必要な情報にアクセスすることができる。
リファー支援の一例としては、奨学金の情報、各種団体の支援情報などさまざまな場所にある情報を一つに集約し展開する「支援情報掲示板」の設置。
心理士、社会福祉士、情報モラルエデュケーターなどの専門家へ繋ぐ「専門家相談」や、家庭の困り事に応じて、各種支援機関や行政サービスに接続する「支援機関・行政サービスへの連携」などだ。
学習支援と生活支援の両方を同時に子どもたちに届けられるのが「キッカケプログラム」。
「子どもは未来!」。地域の垣根を超えて、多様な人材とともに子どもやその保護者を包括的に支援し、住んでいる場所、生まれた環境による教育格差を是正し、子どもたちには平等に学びにつながる機会を保障したい。
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トライアングルエヒメ広報事務局
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