2023/02/24 12:00
えひめのあぷり編集部
愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。
採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。
人々の日常生活や経済活動の基盤である道路インフラは、維持管理の時代へ。
少子高齢化の進む日本では、道路を新設するのではなく、主に高度経済成長期に建造された道路を適切に維持管理していくフェーズに移行している。
老朽化の進む道路を適切に管理し、住民の安全を守るため、道路点検AI「RoadManager損傷検知」の実装化プロジェクトが新居浜市を皮切りに実施されている。
(実装フィールド:新居浜市・松山市・宇和島市・今治市)
ポットホールの例(最も緊急度の高い損傷)
みなさんは、道路にこのような穴が空いているのを見かけたことはないだろうか?
これは「ポットホール」といわれるアスファルト舗装の道路に生じる損傷で、交通量や大型車両の比重、排水不良などが原因で起こるものだ。
ポットホールには、車両などの損傷やバイク、自転車の転倒など事故を引き起こす問題があり、現場ではこのポットホールをいち早く発見して補修対応することが重要なのだが、管理している全ての道路を高頻度・網羅的に道路巡回するのは、人員やコストがかかるため現実的には難しい。
道路管理パトロールや舗装修繕など最良の道路サービスを提供し続けるためには、道路維持管理に関わる現場の業務を効率化していく必要がある 。
この課題に立ち上がったのが、テクノロジーの力を用いて、持続可能な都市インフラへのアップデートに取り組む株式会社アーバンエックステクノロジーズだ。
( チャレンジャー:株式会社アーバンエックステクノロジーズ)
株式会社アーバンエックステクノロジーズが提供する「RoadManager損傷検知」は、道路損傷による事故を未然に防ぎたい道路管理者向けの「AI による道路損傷検知サービス」だ。
専用アプリがインストールされたスマートフォンを車に載せて走るだけで、事故につながる損傷を個人の判断によらず画像から自動で検知することが可能。
また、検知した損傷箇所はWeb管理画面で閲覧・検索ができ、ある程度画面上で補修対応を判断したり、現地へ補修や確認に向かうための指示書を作成するなど、スムーズな修繕につなげることができる。
すでに本サービスを本格導入している尼崎市では、「RoadManager損傷検知」を活用することで業務効率化を実現し、ポットホールの補修件数が約3倍になったという成果も上がっている。
【メリット1】巡回の時間・人員効率化
従来は道路管理担当者による目視点検または高精度の専用車による点検が主流だったため、損傷の見落としや巡回する路線に偏りがあったり、専用車での点検にはコストがかかりすぎて一部路線しか点検できないなどの問題を抱えていた。
それが「RoadManager損傷検知」ならスマホのみの運用によって解決!公用車にスマホを取り付けておくことで、現場に向かう途中などのスキマ時間で目視に頼ることなくAIにより自動で検知ができるように。
【メリット2】事後対応から予防措置へのシフト
また、住民からの道路損傷に関する通報の対応で手一杯な自治体は多い。
しかし「RoadManager損傷検知」の運用を続けて根気よくポットホールの補修対応をしていけば、だんだんと道路の健康状態は改善していく。
ポットホールの数が減っていき、やがて事後対応ではなく軽微な補修の対応や予防措置へとシフトできるはずだ。
そしてそれが、維持管理費用と住民からの通報数を減らすことに繋がっていく。
【メリット3】巡回担当者の判断基準の統一・補修指示の効率化
道路管理の現場では巡回担当者の経験や裁量に頼るところが大きく、昨今ではその専門知識を持った職員の高齢化もあり、ナレッジの共有や判断の標準化が課題となっている。
「RoadManager損傷検知」なら、AIによる画像解析で経験に頼らない一定の基準に基づいた損傷検知が可能。
穴やひび割れなど損傷の種類までわかるようになっている。
AIで検知した損傷情報から、補修したい損傷の画像や位置情報を作業指示書としてそのまま出力できるので、従来の資料作成の手間が省略でき、簡単に補修担当者への指示が出せる。
愛媛県は山間部の市道も多く、スマートフォンの通信エリア外でのパトロールになることもある。
通常、「RoadManager損傷検知」は損傷を自動検知した際にリアルタイムで情報をサーバへ送信される仕組みになっているが、万が一電波の届かないエリアであっても問題はない。
通信エリア外ではスマートフォン側に損傷画像を蓄積し、後ほどまとめてサーバへ手動アップロードすることができる。
2022年11月より、新居浜市にて本プロジェクトの実装がスタート。これまで道路パトロールを特別実施していなかった同市においては、住民からの通報や補修依頼を受けた際の対応車両など公用車3台に対して「RoadManager損傷検知」を設置した。
さらに、自治体のパトロール範囲から外れる生活道路もカバーした検証を行うため、民間企業の参画を検討。
一般家庭や店舗にLPガスやプロパンガスを配送する「出光興産」の関連会社「共同瓦斯」の協力を得て、同社の車両に「RoadManager損傷検知」搭載のスマートフォンを設置してもらい、どのようにデータを取得できるか実証中だ。
新居浜市から始まった本プロジェクトは、松山市、宇和島市、今治市でも実装がスタートして検証が続いており、今後さらに愛媛県内全域への展開を予定。
都市インフラをアップデートし、すべての人の生活を豊かに。住民の安全を守る道路維持管理効率化プロジェクトは、ここからさらに加速していく。
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トライアングルエヒメ広報事務局
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