2023/03/09 12:00
えひめのあぷり編集部
愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。
採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、近年脱炭素、サステナブルへの意識が高まっている。
愛媛県では、「株式会社中国四国博報堂」(以下、中国四国博報堂)と地元企業がタッグを組み、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)な商品を生み出すプロジェクトが走り出した。
「博報堂」が行ったSDGsに関する市場調査の結果によると、Z世代と言われる15~24歳の若い層を含む、幅広い層に浸透していることがわかった。
【脱炭素は誰が取り組むべき課題か?】
●大企業 82.9%
●政府・官公庁 78.9%
●生活者 67.3%
●みんながすべきこと 84.4%
脱炭素は誰が取り組むべき課題なのか、の意識調査によると「みんながすべきこと」と考える人の割合が非常に高い結果に。
それでは、一人ひとりができる脱炭素への取り組みへの意識として、「ものを買うときに大切にしたいこと」のアンケートをとったところ、第1位は、「生産・製造時に環境に負荷をかけない商品を買う」という結果に。
しかし、これはあくまで“買う前の気持ち(意向)”であり、実際の購買理由として多かったのは「長く使えるものを買う」だった。
サステナブルな商品に対してポジティブな印象はあるものの、購買に結び付いていない理由は何なのか…?
環境にやさしい=機能性も高い製品である、と連想する人が少ないことが一つの理由として考えられる。
もちろん、近年サステナブルな商品でもデザイン性と機能性が高い商品は増えている。しかしその情報を消費者自ら調べ、「この商品を買うとどれぐらいエコなのか?」「価格に対してのデザイン性や機能面は?」など、納得したうえで購入するのはなかなか難しく手間もかかる。
それでは、サステナブルな商品をまとめて閲覧でき、購入したことでどれだけ削減を脱炭素に協力できたかが数値で簡単に分かったら?
こうして生まれたのが、後から詳しく紹介する環境価値を数値で見える化した「デカボスコア」と、自分や、まわり、地球のためになるモノやコトを提案するサイト「Earth hacks」だ。
(チャレンジャー:株式会社中国四国博報堂)
今回のチャレンジャーは、「地域を元気にするマーケティングエンジン」として地域資源を活かした新たなビジネスデザインを想像する「中国四国博報堂」。同社は多様化した社会の中で主体性を持って生きる「生活者」を深く洞察し、新しい価値を創造し、社会の架け橋になることを目指している。
今回のプロジェクトで「中国四国博報堂」が目指すのは、デジタル技術を活用したSX化※。
(※) SX化=サステナビリティ・トランスフォーメーション。環境や社会、人々の健康などにおいて、企業が持続可能な経営に転換すること。
SX化実現のために博報堂が行うのは下記の内容。
(1)「Earth hacks」を活用したマーケティング
ECや都市エリアを活用した販売支援、事業者向けの脱炭素勉強会などPR活動を含めたマーケティングを提案。
(2)新たな指標「デカボスコア」で環境価値を見える化
脱炭素に繋がる地域の名産品やサービスの二酸化炭素排出量の削減を試算し、「デカボスコア」を付与することで環境価値を見える化する。
(3)地域創生に繋がる新しい環境価値のある商品開発
Z世代を交えた生活者共創型の脱炭素化をコンサルティング。
(1)~(3)をそれぞれ分かりやすく解説する。
「Earth hacks」とは、消費者が自ら選びたくなる、自分や、まわり、地球のためになるモノやコトを提案するサイト。
サイトに掲載されている商品は全て環境に配慮したサステナブルなもので、各商品にデカボスコアを掲載し、その商品の製造過程におけるCO2削減量もひと目で分かるようになっている。
さらに、その商品のSDGsな【おすすめポイント】をしっかりと記載することで、消費者が商品の素晴らしさを理解したうえで納得して購入することができるのだ。
「デカボスコア」とは、商品やサービスのCO2排出削減率を示したマーク。
デカボスコアのマーク
SDGsへの注目が高まり商品の生産工程や、サービスにおいて排出されるCO2(二酸化炭素)の量を目にする機会が増えている一方で、その排出量が多いのか少ないのか、環境に良いのかを一つの数字で判断することは難いのが課題としてあった。
そこで考えられたのが新たな指標となる「デカボスコア」だ。従来の素材や手法で作られた製品と、「Earth hacks」で紹介している商品のCO2e(二酸化炭素換算の数値)を比較し、どれぐらいCO2排出量を削減しているかを数値で可視化することが可能になった。
既に2021年7月から複数の企業で導入し、販売促進やPRだけではなく、商品開発や製造工程の見直しにも活用されている。
Earth hacksでは、「環境領域/脱炭素」をテーマに、全国の大学生/高校生を対象としたビジネスコンテストイベント「Earth hacksデカボチャレンジ」を実施している。
昨年11月から12月に実施された「Earth hacksデカボチャレンジ2022」では、愛媛県庁をはじめその他11企業と、学生たちが脱炭素化社会に向けて本気で共創し、出場者たちによる熱いプレゼンが行われた。
学生が考案した企画については、各企業が商品化を目指し進めている。
(実装フィールド:今治市)
脱炭素社会の実現に向けて、行政との連携が非常に重要だと考える「中国四国博報堂」。
愛媛県としても、今後県産品にサステナブルという“新たな付加価値”をつける必要があると考えている。
そこで、今回のプロジェクトでは、Earth hacksの自治体向けソリューション「Earth hacks for Local」の第1弾として愛媛県で初めて実装し、愛媛県の特産品を生み出す企業と一緒に新たな商品開発を行うこととなった。
まず「今治タオル」の製造事業者5社(IKEUCHI ORGANIC株式会社、楠橋紋織株式会社、株式会社丹後、西染工株式会社、コンテックス株式会社)に絞り、各社の商品にデカボスコアを付与。
「Earth hacks」内にデカボタオル特集ページを作り、商品の紹介と販売を行う。
また、展示会へ出店も企画。既に2022年12月に東京で「アースハックマルシェ」が開催され、2月には「銀座三越」で実施。
さらに、(3)で紹介した「デカボチャレンジ」で採用された学生たち(Z世代)と、共創型商品開発を行うことで、新たな商品を生み出した。
みんなで考えてSX化を進めることで、県民の脱炭素への意識が高まるだけではなく、商品を購入した人の生活が豊かになり、そして県内事業者の稼ぐ力が強化されることを期待したい。
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トライアングルエヒメ広報事務局
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